みやぎ震災復興研究センター

10年検証ブレスト(第29回)を開催しました

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東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センターが,2021年12月8日に実施した,南三陸町復興まちづくり視察調査を踏まえ,被災市街地復興土地区画整理事業を主な事業手法として実施された復興まちづくり事業の現状と課題,展望について,小川会員が問題提起を行い,それ基づいて議論しました。

震災復興10年検証枠組み検討ブレスト(第29回)
テーマ:「震災から11年:沿岸地域の復興まちづくりの現状と課題(その1)〜南三陸・石巻の今をどう見るか〜」
日時:2022年4月23日(土)10:30〜12:30
開催方法:オンライン
報告者:小川静治会員

東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センターが,2021年12月8日に実施した,南三陸町復興まちづくり視察調査を踏まえ,被災市街地復興土地区画整理事業を主な事業手法として実施された復興まちづくり事業の現状と課題,展望について,小川会員が問題提起を行い,それ基づいて議論しました。

【小川報告の要点】

  • 宮城県の北部沿岸域に位置する被災自治体では,沿岸線にL1対応防潮堤(嵩上げ道路)を築き,背後を災害危険区域及び移転促進区域に指定して防集事業等により高台移転を行い,移転元地の災害危険区域を嵩上げして,産業系の開発を行うという形態の復興まちづくりに取り組んだ。その典型的な事例が南三陸町の旧中心部である。
  • 南三陸町では,二つの河川に挟まれた場所に形成された志津川中心部(旧町役場・防災庁舎も立地)が津波で壊滅。そのエリアを災害危険区域と移転促進区域に指定し,背後の丘陵地に3ヶ所の新市街地を造成して移転した。東地区(津波復興拠点整備事業),中央地区,西地区の事業費はそれぞれ30億から100億近い巨費を費やし,近代的な新市街地に生まれ変わっている。
  • 他方,移転元地はTP10mの嵩上げを行い,広大な区画整理を行った。その目玉は,さんさん商店街と震災伝承施設からなる道の駅エリアで,川を挟んで整備された西側の震災復興祈念公園とともにほぼ完成に近づいている。ただし,その他は,防集で整備した中央地区に比較的近接して大規模商業施設が立地した以外は,ほとんど開発が進行せず広大な空地となっている。特に,道の駅エリアの南側で,旧中心商店街の再現を目論んだしおさい通りエリアの未進捗が深刻である。
  • しおさい通りエリアの未進捗には,権利関係の複雑さ,しおさい通りとさんさん商店街のアクセス性の問題など,いくつかの個別的問題があるが,より大きな問題は,人口想定と実際の人口回復の乖離,新市街地との空間的分離,西地区に近接して立地した大規模商業施設との連携の欠如,災害危険区域指定よる住宅立地制限により,さんさん商店街を含め町外(観光客)需要依存に限定されているいることである。町外の観光客需要は,足元商圏の買い周り品需要と異なり変動が激しく安定性に欠ける。
  • さんさん商店街,ハマーレ歌津に出店した商業者の奮闘は敬服に値するが,開業3年目から町外需要に翳りが現れ,さらにコロナ禍の直撃を受けており,将来見通しは明るいとは言えない。町外需要対応型の両施設はマスコミ報道などで高い評価を得ていたが,建築単価は標準的なコンビニの1.5倍を超え,それが商業者に過度の初動負担と賃料負担を強いている。またコマ割りが小規模で拡張性・柔軟性に乏しい。それらが経済情勢の変化に対応して柔軟に業態転換を進めるための障害となることが懸念される。
  • 推進した町長を含め,地元行政当局には直面する問題への危機感が薄弱な印象を受ける。それも含めて心配である。
  • 石巻中心部のまちなか再生は,南三陸とは全く異なる経過ながら,同様に再建遅れが懸念される。立町・寿通り・アイトピア通り・川沿い通りでは市街地再開発,優良建築物整備事業など,多くの復興事業が計画されたが,現在に至るも未着工のものが少なくない。これらについては,みやぎ県民センターで検証の取り組みを検討中である。今回は,糸口となる事実の提示にとどまるが,改めて,報告の機会を得たい。

【配布資料】

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