みやぎ震災復興研究センター

国交省復興まちづくり関連事業一覧と地方財政措置
白米千枚田に沈む夕日
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遠州尋美

みやぎ震災復興研究センター・事務局長(gmail登録)

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復興まちづくり事業には地方負担が発生
しかし地方財政措置があって,実質の地方負担率は軽減される
被災者がのぞみ必要な事業は躊躇なく実施するべきだ

能登半島地震からの復興に関しては,東日本大震災と違い,国が丸抱えすることはなく,また,復興財源フレームも定められていない。政府予備費から場当たり的に手当されるだけだ。それが復旧の遅れの一因になっている。

国交省は,復興まちづくりに活用可能な事業制度の一覧を2024年2月22日に公表しているが,国費率を見て地方負担を恐れて実施を躊躇う被災自治体が生じることが懸念される。

しかし,多くの場合,地方負担の9割に地方債を充当でき,さらに,地方債償還の元利の80%,地方債が充当できなかった一般会計での負担分の2分の1が特別交付税で自治体に還付される。それを考慮すると,実質の地方負担は,事業制度の要綱に定められた地方負担割合よりも相当に小さくなる。

例えば,下に貼り付けた画像のように,防災集団移転促進事業の国費率は,補助対象経費の4分の3,すなわち地方負担は4分の1なのだが,地方債とその公債費や一般会計負担分に対する特別交付税措置を考慮すると,実質の地方負担はおおよそ6%程度に過ぎない。

2024年度(令和6)における地方債充当率は以下のとおりである。

被災者がのぞみ必要な事業は実質地方負担も踏まえて必ず実現を

したがって,今後,コミュニティごとに,地域の復興像を被災者参加の検討で定まった場合,実現に必要な事業については,制度上の地方負担だけではなく,実質の地方負担を正確に把握して,必ず実施されるように斗う必要がある。

国交省復興まちづくり関連事業一覧

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