2024年12月23日開催
第2回 能登被災地仮設住宅に関する意見交換会のYouTube動画を公開します。
能登半島地震発災以後,能登被災地にて,学生のみなさんと共に継続支援を行ってきた高林秀明さん(熊本学園大学教授)の問題提起を受けて,建築・住宅問題の研究者,住宅運動団体に関わるみなさんをお誘いしてオンライン開催した第2回意見交換会のYouTube動画を公開します。
今後,岡本祥浩さん(日本居住福祉学会会長),高林秀明さんのお二人を中心に,仮設住宅の居住条件改善やコミュニティ形成支援のあり方を考えるシンポジウムの開催や,仮設住宅の抜本的改善とコミュニティ形成支援の効果的展開のための提言活動等に取り組んでいくことを考えています。
開会挨拶と進行予定(岡本祥浩さん/遠州尋美さん)
第2回意見交換会開会挨拶を岡本祥浩さんが行い,遠州尋美さんが進行予定を説明しました。岡本さんは,想定外と言い訳し右往左往するのではなく,被災者の立場でブレることなく復興を想定内の着実な軌道に載せる必要性を強調し,この場の議論が貢献できることを期待したいと挨拶しました。
第一報告「東日本大震災時の応急仮設住宅供給における福島県の取組——佐々木孝男さん(当時県土木部次長)にお聞きして」(遠州尋美さん/みやぎ震災復興研究センター事務局長)
巨大地震・津波,原発過酷事故という複合災害に見舞われ,広域避難を強いられた被災者のために応急仮設住宅の供給を進める現場で指揮をとった佐々木孝男さんへの聞き取りに基づき,その経験と教訓を遠州尋美さんが報告しました。応急仮設住宅の供給建設計画の策定,補助金申請,委託事業者の選定・契約,関係者間の調整と事業の進捗管理まで,全ての実務を一括して土木部住宅建設部局が遂行する体制を築き,それを梃子にプレ協の供給力の限界を補うために地元建設事業者の力を引き出して,木造仮設住宅の大量供給を実現しました。能登被災地における仮設居住者の居住条件改善の道筋を福島の経験をもとに展望しています。
第二報告「住宅建設5ヵ年計画から住生活基本計画への移行と公共住宅政策」(坂庭国晴さん/住まい連代表幹事)
住宅建設計画法のもとで8期40年にわたった住宅建設5ヵ年計画は,かつて「ウサギ小屋」と揶揄された日本の居住水準の向上に寄与してきました。居住水準目標と公共住宅の大量建設がそれを牽引しました。しかし,役割を終えたして住生活基本計画に移行して以来,住宅政策は市場主義への傾斜を強め,公共住宅政策の後退が進んできました。基本的人権を支える住まいへの認識の希薄化が懸念されます。仮設住宅の貧困な居住水準も公共住宅政策の後退と無関係とは言えません。公団住宅の供給を担い住宅運動の推進役でもあった坂庭国晴さんが,いま直面する課題を解説します。
資料解説「応急仮設住宅の変遷」(小川静治さん/東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センター事務局長)及び若干の質疑
小川誠治さんが,仮設住宅の変遷をまとめたチャートを紹介しました。日本建築家協会関東甲信越支部が作成した資料です。また,佐々木孝男さんが仮設住宅の供給時における放射線防護についての質問で,当時の認識を述べています。
論点整理叩き台
能登地震・豪雨被災地の仮設住宅の居住条件の劣悪な状況とコミュニティ形成支援に向けた取り組みのために行った2回の意見交換で提起された論点を整理するために,遠州尋美さんが叩き台として作成したメモを説明し,若干の意見交換を行いました。
【報告資料】
- 遠州尋美「東日本大震災時の応急仮設住宅供給における福島県の取組 佐々木孝男さん(当時県土木部次長)にお聞きして」
- 坂庭国晴「住宅建設5ヵ年計画から住生活基本計画への移行と公共住宅政策」
- 論点整理叩き台
【参考資料】
- 応急仮設住宅の変遷(日本建築家協会関東甲信越支部ホームページより)
【第1回報告会録画映像視聴ページ】
ここからアクセス可能です。
第3回交換会を1月中に開催します
第3回意見交換会を1月中に開催します。これからの取組について意見交換したいと思います。