「建築とまちづくりセミナー in 仙台」プレ企画・連続講座
第4回 「寂寥(せきりょう)たる創造的復興」(小川誠治さん)のYouTube動画を公開します。
東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センター(みやぎ県民センター)事務局長として,東日本大震災の復興支援と復興過程の検証を続けてきた小川誠治さんををメインスピーカーにお招きし,「建築とまちづくりセミナー in 仙台」プレ企画として開催した連続講座第4回のYouTube動画を公開します。また,当日の報告資料および関連情報も掲載します。
基調報告「寂寥たる創造的復興」(小川誠治さん/東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センター)
阪神・淡路大震災の復興計画を特徴づける造語であった「創造的復興」。東日本大震災復興構想会議に招かれて経験と教訓を問われた貝原元兵庫県知事は,自戒を込めて,「迅速性を優先するあまり被災者の思いを十分汲み入れることができなかった」「行政の立場での合理性は人間性に根ざすとは限らない」と指摘した。しかし,村井知事は「未来志向の取り組みを国が認めなかった」ことへの恨み節としてとらえ,受け継ぐべき教訓をスルーした。結局,わずか5年で雲散霧消し,コミュニティの維持や生業再建に失敗した水産業復興特区,当時の土木部次長が「一夜で」作った集約的復興イメージの押しつけの結果築かれた持続性のない小規模防集団地など,平時にはできない構造改革の断行,自分が知事でなければできなかったことの実現に邁進することが村井流「創造的復興」だという惨事便乗体質が,住民合意の軽視と過剰復興の元凶であったことを,豊富なデータで裏付けた。
他方,水産業復興特区の無惨な結果とは対照的に,南三陸町戸倉の養殖漁民が熟議を重ね,既得権益を返上して採用したポイント性により,過密養殖を打破し,労働環境の改善と生産性の劇的改善を実現した取り組みは教訓的であった。
コメントセッション
小川誠治さんの基調報告を受けて,女川町の復興計画に都市計画コンサルタントとして経験した抗いがたい県の圧力,制度設計を行なった国の責任と繰り返される「創造的復興」の危険性,住民合意への模索など,短時間ながら意見交換が行われた。
【報告資料】
- 小川誠治「寂寥たる「創造的復興」の到達点 その虚像の実像」(当日報告資料)
【参考:第二次水産業改革委員会(通称・高木委員会)提出資料】
小川静治さんは,基調報告への補足として,水産業復興特区の推進のために設立された桃浦かき生産者合同会社が経営的に破綻状態にあることを,同合同会社に出資した(株)仙台水産が第二次高木委員会に提出した資料に基いて説明しました。第二次高木委員会における仙台水産島貫会長の報告と提出資料は以下のサイトからダウンロード可能です。
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株式会社仙台水産 代表取締役会長 島貫文好委員「桃浦の漁業者と仙台水産の取組」(2017 年 11 月 24 日講演)
- (株)仙台水産「桃浦の漁業者と仙台水産の取組 桃浦かき生産者合同会社の概要」(報告用プレゼンテーション)