みやぎ震災復興研究センター

震災復興10年検証枠組み検討ブレスト(第22回)を開催しました。

Date

震災復興10年検証枠組み検討ブレスト(第22回)
日時:2021年4月21日(水)16:30〜18:30
開催方法:オンライン開催
テーマ:復興政策の検証枠組みを考える
報告者:遠州尋美会員

遠州会員が,『日本の科学者』2021年7月号(2021年6月10日発行)に投稿した論文に掲載の表「復興政策の全体像(概観)」を検討素材として,東日本大震災における復興政策の枠組みについて問題提起を行い,参加者でディスカッションしました。

  • 復興政策全体を,分析・検討する枠組みとして「復興理念・ビジョン」「復興手法・制度」「復興財源措置」の3基本項目をたて,それぞれの特徴を検討した。また,それぞれの検討に当たって,参照した資料についても詳細に列記した。
    • 「復興理念・ビジョン」は以下の5つの特徴として整理。
      1. 「創造的復興」と「人間の復興」のせめぎ合い
      2. 震災からの復興と日本再生の同時進行:復興費の流用を招く
      3. 「人」より「まち」が優先:面整備優先で住まいは後回し
      4. 「防災」と「減災」,多重防御
      5. 定型的,類型的な復興像の押し付け
    • 「復興手法・制度」は以下の4点で整理。
      1. 復興特区法とその特徴
      2. ハード優先の復興交付金事業と野放図な規制緩和,震災特例
      3. 被災者再建支援金と被災者支援総合交付金 4. 生業再建支援と多重債務対策
    • 「復興財源措置」は以下の2点で整理。
      1. 復興財源確保法と東日本大震災復興特別会計
      2. 国丸抱えの財政支援スキームを実現した東日本大震災財特法
  • ディスカッションにおいては,復興政策の枠組みとして肯定的な評価があったが,同時に,以下に列記するような活発な意見交換が行われた。
    • 当初,3基本項目に「復興推進体制」も加えた4項目で検討を試みたとあったが,それぞれの自治体や地域の復興のあり方を左右したのは,結局住民自治の発揮のされ方だった。3項目加えて自治の視点を加える必要があるのではないか。
    • 「復興推進体制」としては,被災自治体=復興計画・実施の主体,県=広域調整,国=制度設計という役割分担が考えられていたが,結局,具体の復興プロセスは制度が縛るために,トップダウンが貫かれる結果になった。
    • 「評価」と言うのであれば,「人間の復興」がどこまで達成されたかこそが重要で,それがこの枠組みで明らかにできるのか。
    • 莫大な復興予算が被災者,被災地にどれだけ還元できたのかが明らかにされるべきだが,それは,3基本項目のどこでわかるのか。
    • 広域複合災害と言う特徴を前提とすれば,原発事故の問題は避けて通れない。福島の研究者との交流が10年検証においては重要になる。
    • 原子力災害は,対応する法律も,復興のステージも全く異なるので,地震・津波被災からの復興と同一の視点で語ることは難しい。
    • 岩手と宮城のスタンスの違いは,現発立地県か否か左右しているとも考えられる。そういう意味で原発が復興に与えた影響は検討する必要がある。
    • 阪神・淡路から前進したのかどうかと言う点では,グループ補助金は重要な評価が与えられて良い。
    • 復興政策全般にわたって分析し評価すると言うのは膨大な作業を伴うので,多くの研究者が分担する以外にない。それを前進させるには,「どのように評価できるか」と言うことをより突っ込んで議論して分析の方向性を見出していく必要があるのではないか。

後日,より詳細なまとめを公表したいと思います。

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