みやぎ震災復興研究センター

南海トラフ巨大地震に備え,直ちに取り組むべきこと
白米千枚田に沈む夕日
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遠州 尋美

みやぎ震災復興研究センター・事務局長, 東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センター・事務局次長, 元大阪経済大学教授,工学博士,地域政策・地域開発(地域の自立と参加型開発)(mac.com)

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日向灘地震は,南海トラフ地震の危険度を高めます。警戒してしすぎということはありません。したがって,南海トラフ地震によって影響を受ける可能性のある地域にお知り合いの方がおられる場合には,少なくとも,次の対応を取られることについての注意喚起をお願いいいたします。
日向灘地震で南海トラフ地震の危険度が増している
 日向灘で,比較的規模の大きな地震が発生しています。現段階で,激甚な被害が発生している情報はなく,南海トラフ巨大地震に結びつく可能性についても,格別の情報はありません。(政府は,南海地震臨時情報を発表。運用開始後初めて)
 しかしながら,今回の地震がプレート境界における歪みの蓄積バランスに何らかの変化をもたらしていることは否定できず,巨大地震の発生に備える必要は高まっています。
南海トラフ地震の影響を受ける可能性のある地域の関係者に注意喚起を
 警戒してしすぎということはありません。したがって,南海トラフ地震によって影響を受ける可能性のある地域にお知り合いの方がおられる場合には,少なくとも,次の対応を取られることについての注意喚起をお願いいいたします。
(1)家庭内における避難への備え
- 寝室,居間,居室から,出入り口(玄関等)までの経路において,家具等の転倒により避難が阻害されないか点検してください。
- 避難を阻害する恐れのある家具については,転倒防止の対策がなされているかどうか確認し,不十分な場合は直ちに転倒防止の対策を講じてください。
- 寝室等から玄関等に到達する経路上で,食器,ガラス等が破損し散乱している状態であっても,ケガなく玄関等に到達できるように,枕元にスリッパ等,足を保護するものをご用意してください。
 私自身,福島県沖地震の際に食器戸棚が転倒して寝室から,トイレ,玄関に至る経路が塞がれました。戸棚にストッパーが設置されていましたので食器が飛び出し散乱することを免れました。しかし,それが逆に災いしました。食器を収納した状態で転倒したのです。そのため重量が重く,一人で起こすことができませんでした。倒れた食器戸棚によじ登って避難する状態に陥りました。結局,ストッパーを解除して,食器を掻き出し,それから元に戻しました。(食器はかなり壊れました)
 事前対策はしていました。ゴムの楔を戸棚の下に刺して,壁側に倒して,通路側に倒れないようにしていましたが,横揺れだけなら効果があったはずです。しかし,縦揺れと横揺れが複合して楔を飛び越え,転倒したものと思います。
 簡単な転倒防止は,天井と家具の隙間を突っ張り棒で埋めるのが良さそうです。
 全ての家具の転倒防止が必要ですが,命を守るためには,まず,出入り口までの通路を確保することは必須です。
(2)緊急避難場所の確認と避難手順について家族で話あう
- 津波てんでんこを実践するには,そのための家族ごとの対応と,それを家族全体で共有することが必要です。
- 家族それぞれが所在する可能性のある場所ごとに,直近の緊急避難場所(高台,避難タワー,避難ビルなど)の位置を確認し,避難手順,経路を定めてください。
 自宅にいる時間に地震が発生するとは限りません。自宅,職場,学校,買い物等で訪れる場所,それぞれから自宅等への経路上など,発生時の所在場所から,最寄の緊急避難場所の位置を確認して,それぞれ,優先順位をつけ共有してください。
- 緊急避難場所までの安全な経路を確認してください。天候,時間帯,発生した災害によって,最適な避難経路が異なる可能性があります。それを家族全員で確認し,共有してください。

 もし,短時間豪雨と複合した場合,下水が溢れてマンホールの蓋が飛んでいたり,側溝から水が溢れ出て側溝の位置を覆い隠している可能性があります。特に夜間は浅い水たまりと区別がつきません。
ブロック塀や石垣に沿った通路は,ブロック塀等の倒壊の危険があります。空調の室外機,電柱に設置されたトランス,大きなガラス窓,ひび割れのあるモルタル壁などは落下の危険があります。

- 避難行動に支援が必要なお年寄り,障害をお持ちの方がおられ,また,避難支援をすべき家族が不在の可能性がある場合は,近隣で,避難支援をお願いできる方を見つける努力をしてください。
 東日本大震災のビッグデータの解析では,発災直後は沿岸域から内陸への避難行動が多かったが,15分過ぎから浸水エリアに向かう人が急増しました。つまり,沿岸部に住む家族,知人を救助に向かうピックアップ行動が多数確認されています。ピックアップ行動を取る必要がない体制を築くことが,てんでんこの最も重要なポイントです。
 たとえ,避難支援者を見つけられなくとも,その声がけが,地域の安全意識を高めます。
- 緊急避難場所に移動した上で,最終的に家族が安全を確認して合流する場所を決めましょう。合流場所まで移動する経路の安全が確認されたあとは,合流地点に集合しましょう。
(3)非常物資を調達できる余裕があるときは,非常物資の調達をしてください。
番号は,優先順位を示しています。まずは,家の中の安全確保,ついで緊急避難場所への避難手順の確認・共有,非常物資の調達は,その後でも間に合います。

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